最近、いくらくん(息子)6歳は文句をよく言う。
人にせいにしたり、文句を言ったり。
こんなに文句を言う子だっけ?と思うくらい文句を言っている。
明るくてポジティブで前向きな子を見ると、
つい、こんなふうだったらいいのになぁと思ってしまう。
でも、そうじゃなかったのだ。いくらくんはとても成長していたのだ。
それが文句に現れていた。気づかなかった。
最近、とくに気になってきた文句。
たとえば朝、顔を洗うのを促すと、「え〜!!めんどくさい!!」。
帰宅後の荷物の片付けも、「えー!!なんで!!なんで今なの?」
顔に吹き出物ができたら、「もう!このブツブツ、いつ治るのっ?」
…てな具合だ。
とにかく、母が何か行動を促すと、ひと言目には「えー!!」だ。
5歳くらいから気になり始め、今6歳。文句がすごい。
他人を叩く。他害はほぼ消えた。
一方でいくらくんには3歳くらいから、解決すべき重大な問題があった。
それは、他人を叩くことー〈他害〉だ。
嫌なことがあったとき、思い通りにならないとき、悔しいとき、叩いていた。
友達に対しても母に対しても。
3歳、4歳、5歳……
そして6歳になっても、頻度は減ったものの叩いていた。幼稚園年長の年になってもまだ手が出ていた。
小学生前までに、叩く行為を無くしたい。
そう思って取り組んできた。
なんだか文句が多いな、と気になり始めた頃、気づけば叩く行為は減っていた。
幼稚園もそろそろ卒園という頃には、
叩く行為、他害はほぼゼロになっていた。願いはかなった。
〈叩く〉は〈文句〉に変わっていた。息子なりの成長がここにあった。
つまり、自分のどうしようもない思いを伝える手段が
〈叩く〉→〈文句〉に変わったのだ。成長だ。
文句なんて言わない方がいい。
でも、いくらくんは〈叩く〉ことをやめて、
それよりも受け入れられやすい行動に変えることができた。
(なんなら、叩くも文句も一気に収まってほしいところだけど…)
少しずつすこしずつ、自分の気持ちのコントロール方法を学んでいるのだ。
3歳からわずかに、少しずつ少しずつ減ってきた他害。
3歳のとき、友達を叩く、噛むが問題になって、
その問題に園と家庭、発達相談で取り組んできた中で、実は増えていた行動がある。
それは「絶叫」。
3軒隣まで響くようなつんざく声をあげ、
顔が真っ赤になるくらいに大絶叫するというもの。
この絶叫は、嫌だったことを伝えるためなので、なんでもないことで発生した。
服が濡れた、テーブルから物が落ちた、やりたかったことができなかった…etc.
とにかく些細なことで絶叫が起こった。
叩く行為を抑えるように働きかけたら、いくらくんの中で手が出せないもどかしさは、「絶叫」に変わったようだ。
手を出してはいけない、その思いが絶叫という形になった。
3年を掛けて、いやなときの気持ちの表わし方が
〈他害100%〉→〈他害50%+絶叫50%〉→〈他害30%+絶叫70%〉→という形で推移してきた。
いくらくんの中でやり過ごし方を覚えたようで、だんだん手を出さなくなっていた。
でも、とはいえ、〈絶叫〉も辛い。
聞いているこちらも、かなりのストレスだ。
〈絶叫〉されたとき、私はいくらくんに伝えてきた。
「大きな声だと、ママは怖くてあなたが何を言っているのか聞けないよ。
普通に話してほしい。」
…と。
〈他害〉と並行して〈絶叫〉すること3年、気づけば、〈絶叫〉も減っていた。
いや、ほとんどない。
つまり、私がお願いしていたことを守るようになったのだ。
「大きな声だと、ママは怖くてあなたが何を言っているのか聞けないよ。
普通に話してほしい。」
そう、この願い通り、普通に話してくれるようになった。
普通に嫌なことを伝えてくれている、だからそれが〈文句〉になった。
新しい問題行動が気になり始めたら、じつは成長の現れかも?
「文句が多い」。
その行動だけにフォーカスしたら、これは困った行動、問題行動にもうつるかもしれない。
でも、その子全体を過去から現在までの流れの中で立体的にとらえると、全然違った。
ものすごく成長したのだ。
思い通りにならないことや嫌なことに対して、
やっと、〈他害〉でもなく〈絶叫〉でもなく、普通に〈文句〉を言えるようになったのだ。
涙が出そうなほど、嬉しくなった。
いくらくんの言う文句がとても愛しく思える。
文句くらい受け止めてあげよう。
日々、いろんなことを乗り越え、頑張っているのだから。
きっと、この文句もいつかは表に出さず、
心の中で少しは収められるようになるのだろう。
成長は一つずつ。
まるでジェンガのように、あっちが収まれば、こっちが出たりする。
新しく気になった困った行動や問題行動は、何かこれまでの問題行動を乗り越えた成長の現れなのかもしれない、と思った。
人と比べない。比べるならその子自身の過去と比べる。
やっぱり、何度でも心に刻みたいのは、他人と比べないこと。
自分の子の過去を今を比べて、その成長を見てあげること。
経営の神様である松下幸之助もこんな言葉を残している。
突然の松下幸之助だが、やっぱり突き抜けている人は人間性も素晴らしい。
大人だって、こどもだって、他の人のことなんて気にしなくていい。
生きているのは自分なのだから、自分との成長の戦いでしかない。
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